月別アーカイブ: 2月 2011

誰でもよいと言いながら

開所以来二人三脚でやってきた事務員が先週いっぱいで事務所を去った。彼は、事務所の手伝いをしながら転職活動と婚活をしていたのだが、婚活の方はまだうまくいっていない。どんな人と結婚したいのかと聞くと、「僕は誰でもいいんですよ」と話していた。 さて、本日の日経は、30面(社会)から 偽装結婚摘発昨年25%増加 471人 警察庁まとめ 来日外国人が在留資格を得るための偽装結婚事件で2010年に摘発された件数が471人と、前年より約25パーセント増加したとのこと。 在留資格を得るためだけの目的で結婚の実態がないにもかかわらず、婚姻届を提出し場合には、公正証書原本不実記載罪、同供用罪が成立する(現在戸籍は電子化されているので、正確には電磁的公正証書不実記載罪となる)。 刑法157条 (公正証書原本不実記載等) 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 近年、在留資格を得ることの出来ない外国人、在留期限が切れてしまう外国人に日本人の配偶者としての在留資格を得させる目的で単身者を紹介し、偽造結婚をさせ、あっ旋の対価を得るビジネスが増えている。昨年摘発された471名のうち、このような仲介を行った日本人と結婚の相手方の日本人が269名と半数以上を占めているのが注目される。  偽装結婚というのは、婚姻生活の実態がないにもかかわらず、別の意図で婚姻届を提出し、戸籍上婚姻関係を創出することを指すようだ。偽装結婚は、外国人が在留資格の取得のためにされる場合や、同性愛者同士が税制上の優遇措置を受けるなどのために利用されることがあるという。前者は、当然摘発の必要のある可罰性の高い行為であると思われるが、後者なんかは摘発の必要が低い、または全く摘発の必要が無いものが大半ではないかと思う。  民法739条によれば、婚姻の届出には2名の証人の署名または口頭立会いが必要となっている。婚姻届の証人となるのは、成年であれば誰でもよいが、他人に頼むときはお礼を渡すことが一般的で、親族が証人となることが多い。もし、偽装結婚と知りながら、第三者が婚姻届に証人として署名したり、届出の立ち会いをした場合には、その証人は上記公正証書原本不実記載罪、同供用罪の共犯となってしまうことがある。そのようなことを知らずに、婚姻届の証人として名前を貸せば云万円を支払う、という怪しいアルバイトに手を出すと逮捕されることもあるので注意が必要だ。 この度、3ヶ月間当事務所を支えてきた優秀なカリスマ事務員が希望していた業種の会社に就職することになった。もう、この先、彼ほどパフォーマンスの高い人材を見つけることは出来ないだろう。物騒なご時世なので、誰でもよいから結婚したいと話している彼のことが心配になっている。とはいっても、あの事務員は結構好みにうるさかった気がするので心配ないでしょう。さらなるご活躍をお祈りしております。 さて、私の友人の素敵なご夫婦池田様とその息子レオー君(2か月半)からとってもおしゃれなラジオメーター(中央)をいただきました。赤外線に反応し、中のプロペラが回るドイツ製の置物です。 左の置時計と右の一輪挿しの花瓶は、昨年末に友人の辣腕弁護士のミホミホ先生からいただいたものです。 どうもありがとうございました。 タツゾー

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未公開に御用心

先日、髪をバッサリ切ったところ、昨日会った依頼人から「先生、髪を切って精悍になりましたね」と言われました。 今朝は、弁護士ドットコムの学生のインタビューが事務所に来た。インタビュアーの彼から「ブログ読みました。『日経新聞を読む』とても勉強になります」、との言葉をいただいた。日経新聞と言いながら、社会面の話ばかりなのでたまには経済面の話も書かなくてはいけないですね、と話した。 ので 本日の日経は、5面(経済)より 法案、来月にも閣議決定 金融で成長後押し 未公開株売買 無登録業者は無効 金融庁が今国会に提出する金融成長戦略一括法案(仮称)の全容が明らかになったとのこと。同法案の目玉は、従来、大企業のみしか利用ができなかったコミットメントライン契約を中堅企業にも広げることと、金融商品の販売等をするのに必要な金融庁への登録をしていない「無登録業者」による非上場株式(いわゆる未公開株)や社債の販売をした場合に原則無効とする民事ルールの新設だろう。 コミットメントラインといえば、かつて楽天がTBS株を取得する際に設定して資金調達したことで一躍有名になった契約だ。融資枠契約というもので、、、、と、私のような場末のマチ弁が知ったかぶっても仕方ないので、説明はやめておこう。「特定融資枠契約に関する法律」により利用できるのは、会社法上の大会社(資本金5億以上または負債200億以上の会社)や資本金の額が三億円を超える株式会社などいわゆる大企業のみだったが、この裾野を広げるとのこと。   一方の無登録業者による未公開株売買に関する原則無効ルールの新設にはとても関心がある。これまで、投資勧誘による詐欺事例については、民法上の詐欺や不法行為による損害賠償の規定により被害回復をするしかなかった。金融商品取引法は、投資者保護のため、金融商品の販売などを行う業者については、登録、届出を義務付け、業者の財務的健全性確保、監督に関する規定を定めている。また、同法は、金融庁による監督の及ばない無登録業者には金融商品の販売を禁止している。ちなみに、金融商品取引法29条は  金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。 と定め、同法198条は  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一  第二十九条の規定に違反して内閣総理大臣の登録を受けないで金融商品取引業を行つた者 二 、、、、 と規定し、無登録業者による金融商品の販売などについて刑事罰を定め規制している。ただし、このような業法違反の取引があったからといって、金融商品を販売した当該契約が民事上無効となるわけではないため、被害者救済に十分ではないといわれていた。金商法に違反している取引は不法行為による損害賠償請求する訴訟における業者の勧誘が詐欺であるという違法性を基礎づける要素にはなるが、だからと言って、無登録業者による契約が即公序良俗違反として無効となったり、民法96条に定める「詐欺」に該当して契約を取り消すことができるわけではない。 この法案のとおり、無登録業者による未公開株販売は原則無効という効果が法定されることは極めて画期的だ。この規定により、投資詐欺の代金返還を求める紛争解決までの時間が短縮されると思われる(ただしこれは被害者にお金が返ってくること必ずしも意味するものではない)。投資詐欺に関する紛争は、無登録業者の資力や、財産保全などの問題に重要性がシフトしていくことになる。 未公開株、未公開物件、未公開写真など、「未公開」という響きは何かひかれるものがあるが、大体ろくな話がないので気をつけてほしい。 今日、地元である群馬県の「上毛新聞」に私のインタビュー記事が掲載されました。朝いちばんで送られてきた新聞を読んだ母からのメールを読んで愕然とした。 「まるでパパの弟のように額が後退してます!」 撮影の角度が悪かったかな。でも既公開だし、色んな意味でもう手遅れです。 タツゾー

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お仕事です!Dignity, always dignity.

私が先日参加した、せたがやソーシャルビジネスコンテストは残念ながら部門2位だったため、本選に進むことができなかった。これで私も副業で食べて行こうという夢は諦めて本業に腰を入れるしかない。 本日の日経は5面(オピニオン)インタビュー 領空侵犯より 企業は副業認めよ 視野の広がり本業にも寄与 アパレルセレクトショップの草分けビームスの社長、設楽洋氏が、企業は規則を改めて社員の副業を認め、副業による利点を取り込む会社が増えていくべきと副業容認論を提案している。ちなみに同氏の会社は、今のところ、何人かの社員に本の装丁など「個人でできる副業」を「黙認」している段階で、将来的にはオープンに認めるようにしたいと語っている。「黙認」ってなんだろう。やめろとは言わないが、ほかの社員はあまり真似はしないように、ということだろうか。 先日のビジネスコンテストで、私は様々な起業家たちと出会った。その中には、大きな会社に所属しながら勤務先会社の名刺と副業ビジネス用の個人名刺を持ち歩いているIT会社員や、主婦兼ビジネスパーソンとして奮闘する赤ん坊をおんぶしたママ、普段はOLだがビジネスアイディアを考えいつか実現すべく企画を温めている女性など、実に様々な副業従事者がいた。 景気の悪化にともない(または人生における生きがいや仕事のやりがいを求めてか)、会社に内緒で副業を始める人が増えているという。確かに、昨年は、勤め人の兄や会社員の友人に、景気はどうかと聞くと、残業が減って(または残業として申請できないため)給料がへったと話すことが多かった。会社員、とりわけ若い世代の給与所得者は、残業手当が給料のうちかなりの割合を占めることが多く、ある水準で残業手当が支払われることを前提としてライフプランを立てている。このような多くの若年層は、残業代の減少で従来の収入を前提としたライフプランを維持するの困難になる。たとえば、家の引っ越し、習い事をやめる、ランチから弁当へ、スタバからベローチェへ(私も同様の苦境に立たされている気が、、、)。 会社員の副業には当然様々な法律問題が生じる。日本では多くの会社が就業規則により社員の兼業を禁止している。兼業禁止規定に反した場合には、解雇や譴責(けんせき)、戒告という懲戒処分が行われることが多い。会社が兼業禁止規定を定める目的は、社員に職務へ専念させること、過労働による労働災害の防止、社員の健康管理など様々あるようであるが、その目的自体はどれも合理的である。 しかし、労働者は就業時間外は会社に対して労務提供義務を負っていないのであるから、その時間をどう利用しようとそれは個々人の自由であり、兼業により会社の職場秩序に悪影響を与えたり、会社での労務に顕著な支障が生じるような場合でない限り、原則的には認められるべきだろう。裁判例では勤務先の業種と副業の業務内容や、副業にあてている時間、本業に与える影響などを総合考慮して、個別の副業が兼業禁止規定に違反するか否かを判断し、懲戒処分の有効性が判断される。 また、社員の副業により、会社の営業秘密が競合他社にわたってしまうなどの危険があるため、その防止策として兼業禁止規定には合理性があり副業をした社員への懲戒は認められてしかるべきといわれることがある。しかしながら、守秘義務違反事例は、副業を一律に禁止しなくとも、守秘義務違反自体を懲戒事由として処分すれば対応が可能であるはずだ。 営業秘密の他社への漏えい問題に関しては、取締役であれば、会社法上の競業避止義務や特別背任罪の規定、一般の社員に関しては不正競争防止法による規制があるのであるから、就業規則による一律の兼業禁止規定が絶対に必要なわけではない。 不正競争防止法2条4号は、 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)又は不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為 を「不正競争」として、違反者に対する差止め請求、損害賠償、刑事罰なども定めている。 厚生労働省も、平成16年において、副業について「多様な働き方の選択肢を整備する観点からは、複数の仕事を同時並行的に行ういわゆる複数就業についても、合理性を有する働き方のひとつとして認知していくことが考えられる」との報告をしている(出典:有斐閣2006年 菅野和夫ほか編 「実践 変化する雇用社会と法」)。厚労省が平成16年の時点で副業を肯定的にとらえているということは注目に値する。 ちなみに弁護士は、所属する事務所によるが兼業は禁止されていないことが多い。私は自営業者なので当然副業も自由なのだが、弁護士職務基本規程にはこのような定めがある。 第十五条(品位を損なう事業への参加) 弁護士は、公序良俗に反する事業その他品位を損なう事業を営み、若しくはこれに加わり、又はこれらの事業に自己の名義を利用させてはならない。 第十六条(営利業務従事における品位保持) 弁護士は、自ら営利を目的とする業務を営むとき、又は営利を目的とする業務を営む者の取締役、執行役その他業務を執行する役員若しくは使用人となったときは、営利を求めることにとらわれて、品位を損なう行為をしてはならない。 私がやっている副業は世田谷区に中国人その他外国人観光客を集める「世田谷くーる」という事業で、品位を損なうような事業ではないので大丈夫そうだ。ただ、ソーシャルビジネスコンテストにかこつけて、いろんな人に話しかけるのはやめておこう。 Dignity….Always dignity.ですね。 コンテスト入賞を逃し、頓挫してしまいそうなので協賛者絶賛募集中なう。 さて、今日は弁護士会の研修で久しぶりにあった友人から、「ブログたまに読んでいる」とのメッセージをいただきました。加えて、「あんなに頻繁に更新して、お前全然仕事していないだろう」と言われたのですが、これはれっきとした、お仕事です! タツゾー

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