月別アーカイブ: 4月 2011

僕の中の狼少年

最近ブログにキレがないとか、更新頻度が減りましたね、と各方面からご意見を頂戴している。 さて本日の日経は38面(社会)から 論点・争点メディアと人権・法 ネットの震災デマ削除 国の要請、実効性検証を 東日本大震災の発生直後からインターネット上に流布したデマ情報の対策として警察が書き込みの削除依頼に踏み切ったこと、4月には総務省が通信業界に削除依頼への対応を要請するに至ったことが紹介されている。 削除依頼はあくまで管理事業者への自主的削除の依頼にすぎず公権力による表現に対する強制的な制限ではなく①任意の依頼、②削除するか否かは事業者の判断にゆだねるという「二重の防壁」があるとの説明がされている。表現の自由に対する二重の防壁という意味だろうが、考えようによっては、表現の自由に対する制限だが、侵害と判断されないための二重の言い訳のような気がする。 公権力がこのような表現の削除依頼を行うことについての法律上の根拠はない。個人的には、ある情報はデマで、ある情報は正当だ、として公権力が情報統制をすることはかなり危険なことだと思われる。政府提供の情報だって本当に正しいのか疑問だったりするのだから、余計そう思う。 公権力による削除依頼には憲法が禁止する検閲に該当するのではないかという問題もある。結論的に言えば警察の削除依頼は、あくまで「依頼」であり、発表の禁止ではないし、削除するかは事業者の自主判断であり、公権力が削除するのではないから検閲には当たらないということになる。削除要請された情報が有害情報であるという相当の資料があれば、事業者による削除措置が不法行為となることもないものと思われる。とは言っても、やはり有害情報への対応は、対抗的な注意喚起情報提供による情報の淘汰に期待すべきだ。建設的な提案としては、政府による公衆へのデマ注意の広域伝達手段を充実させるべきだろう。例えば、デマキーワード連動型注意喚起広告手法や、総務省によるデマ注意喚起ツイートアカウントの取得なども検討されてよい。 地震直後に石油会社の製油所が爆発したことに関し、不実情報(いわゆるデマ)が流れたことは有名だが、その時はその情報を削除することではなく、デマが流れているという報道を通じてデマ情報に気をつけろとの呼びかけがなされた。有害情報に関し、その情報への注意喚起するための対抗情報を提供し、市場原理による情報の淘汰の試みといえる。思想・言論の自由市場という言葉があるが、有害情報への対応はこのような対抗言論措置によるべきが本筋といえるだろう。 この記事では、ヤフー社は法律上の根拠が説明できない以上、自主削除の依頼に応じようがないとして、省庁からの削除要請を業界団体のホームページに集約して公表するという対応をとっていると紹介されている。 ツイッターなどのソーシャルメディアが流行しているのは、生の声の表現発信が自由にかつ容易に行うことができるからである。日本は、中国がgoogleに検閲措置をしようとすることについて民主主義が身についていないと批判的に報道しているが、今回のような公権力による有害情報の削除要請は表現の自由に対する同様の脅威であるかと思われる。情報が危険・有害かは、国家が判断すべきものではなく、情報の受け手の取捨選択にゆだねられるべきであるからだ。 ツイッターの利用規約には次のような条項がある。  『本サービスは「現状のまま」提供されます  ユーザーは、ユーザー自身による本サービス又はいずれかのコンテンツへのアクセスと利用に伴うリスクを自ら負担するものとします。ユーザーは、本サービスが「現況の姿のまま」ユーザーに対して提供されることを了承します。上記を制限せずに、Twitterとそのパートナーは、商品性、特定目的適合性、又は無侵害の担保責任の一切を、明示であるか黙示であるかを問わず排除します。弊社は、本サービス又は本サービス上の一切のコンテンツの完全性、正確性、入手可能性、適時性、安全性又は信頼性を一切担保せず、その全責任を排除します。ユーザーが本サービス又はいずれかのコンテンツにアクセスしあるいはこれを利用したことが原因でユーザーのコンピュータシステムに害が発生し、データが失われ、又はその他の害が発生した場合、Twitterはその責を一切負いません。また、ユーザーは、本サービスの維持するコンテンツ及びその他の通信内容の削除、又は保存あるいは送信の不成就について、Twitterがその責を一切負わないことを承諾します。弊社は、本サービスがユーザーの要求を満たすものであり、又は絶え間なく、安全にあるいは誤りのない状態で提供されることを一切担保しません。Twitterから又は本サービスを通じて獲得された一切の通知あるいは情報は、口頭であるか書面であるかを問わず、本書において明示的に為されていない一切の担保を創出しません。』 ツイッターはユーザーのツイートを現状のまま流すことがその本質的なサービス内容だ。そのようなコンセプトのフォーラムにおいては、世の多数派により内容が有害、誤りであると判断されたとしてもそれを削除する必要は全くない。ツイッターが警察の削除要請に応じるとしたら、このサービスの根幹を否定することになる。ツイートというものは、そもそも、正確情報を流すためのサービスではないのだから。 嘘ばかり話す少年はいつの間にかだれからも信じてもらえなくなった「狼少年」の話がある。デマを流している人間に対して社会が警戒するという営みはいつの時代にも存在する。「狼少年」でも社会は、少年のいうことは信じないという対応をとるのが正当なのであって、村長がその少年に発言を禁止したり、コミュニティから退場させるというのはあるべき姿ではない。 それよりもよっぽど心配なことは、権威があると考えられてきた組織が狼少年みたいになってきたことではないかと思っている。そうであるなら、余計に公権力からの削除依頼になんて応じられないと考えるのが、管理事業者の思いではないだろうか。 いつか総理大臣があまりマスコミの前に姿を現さなくなっているときにデーブ・スペクター氏が、「総理はいま四国にお遍路に行っている」とつぶやいていたが、そういうデマが公権力から削除要請されるようになったらこの国はおしまいかもしれない。 やはりキレが悪いのでしばらく更新を休みます。 タツゾー

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電気を大切にネ

東京電力に勤めている人にこのような質問をしたことがある。 「でん子ちゃんは『電気を大切にね』と言いますが東京電力的には、大切にされると電気料金の収入があがらないから良くないのではないですか?」 本日の日経は5面(経済)より 「電力25%削減」軽減探る 供給量上積み見極め 経産省、週内にも判断 今年の夏は東京電力管内での電力供給量不足が予想されることから、電気使用制限措置がとられることになっている。経済産業省は週内にも電力の大口需要家に対し、電力事業法の電気使用制限措置の瞬間最大使用電力25%削減の目標を引き下げるか判断するという。近頃、この電力使用制限措置が騒がれているが、私はこの措置が一体どんな措置かがよくわからなかった。 電力事業法27条はこのように定めている。  第二十七条  経済産業大臣は、電気の需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは、その事態を克服するため必要な限度において、政令で定めるところにより、使用電力量の限度、使用最大電力の限度、用途若しくは使用を停止すべき日時を定めて、一般電気事業者、特定電気事業者若しくは特定規模電気事業者の供給する電気の使用を制限し、又は受電電力の容量の限度を定めて、一般電気事業者、特定電気事業者若しくは特定規模電気事業者からの受電を制限することができる。 そして同条の「政令で定めるところ」の「政令」というのが電気使用制限等規則というものらしい。 この規則では、いわゆる大口需要家について「一需要設備についての契約電力が五百キロワット以上であるもの」と定義されている(1条)。 また、同規則は、制限の方法として、使用最大電力の限度設定(2条)、用途に応じた使用制限(3条、広告灯、電飾、ネオンサイン、ショウウィンドウ用照明設備のための電力使用制限) 、日時を定めてする使用制限(4条、平日や時間帯を決めて使用制限を行う)などを定めている。電力使用制限の実効性を担保する手段として、大口需要家等に対し、「経済産業大臣が指定する期日までに、それぞれ様式第一又は様式第二により、当該制限が行われた期間における電気の使用状況に関する報告書にその写し二通を添えて、所轄経済産業局長等に提出しなければならない。 」として使用状況の報告を義務付け(6条)、電気事業者から電力供給を受ける場合には「一の需要設備の受電電力の容量が経済産業大臣が指定する容量以上の受電電力の容量をもつて一般電気事業者等から受電をしようとする者又は現に一般電気事業者等から受電をしている者であつて増加しようとする受電電力の容量が当該指定する容量以上である者は、経済産業大臣が指定する期間においては、受電開始の三十日前までに、①  受電電力の容量及び受電開始の日、②  需要設備の設置の場所を所轄経済産業局長等に届け出なければならない。」として受電届出義務を規定する(7条1項)。そして届出の内容から「当該受電が電気の供給の不足をもたらし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは、その事態を克服するため必要な限度において、当該受電の開始前に限り受電をしようとする容量を削減すべきことを勧告することができる。」とのこと(7条2項)。 経済産業局長の勧告は行政指導であって強制力はないが、おそらく従わなかった場合には公表なども予想され、社会的責任の観点、マスコミのバッシングを恐れ、事実上の強制力をもつと思われる。要するに、この勧告はでん子ちゃんの「電気を大切にネ」とはちょっとわけが違う。 これまで節電は良いことと考えられていても、その理由はもっぱら節約目的くらいにしか考えられていなかった。私はもともと節電家だったのだが、あまり節電のことをがみがみいうと、「あの人はケチくさい」と女性からは嫌われる傾向があるような気がしていた。おそらく、節電が美徳と考えられるようにり、胸を張って節電をできるようになったのは、震災があってからだと思う。 地震後、でん子ちゃんのCMは放送されなくなってしまったが、節電が重要課題の今こそ国民的節電キャラクターのでん子を登板させるべきだと思う。出番がなくなってしまったでん子は、こんなことを考えているに違いない。 「でん子も大切にして」 タツゾー

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無気力相撲かについて法廷闘争

最近友人の弁護士の活動がテレヴィや新聞の記事になっている。皆様活躍をされているようでなによりだ。本日の日経は35面(社会)から 解雇無効求め元星風が提訴へ 八百長問題 八百長問題で日本相撲協会から解雇処分を受けた元十両星風が日本相撲協会を相手取り解雇処分の無効確認を求めて提訴する意向を示し、来週にも力士としての地位保全の仮処分申し立てをすると発表した。 同じく解雇処分を受けている蒼国来も法的措置を検討するという。代理人弁護士によれば「同協会の調査は客観的な証拠の吟味などを怠っており、手続き上の問題がある」とのこと。 おそらくこの裁判では、力士と相撲協会の関係が雇用契約なのかどうなのかということが争点となると思われる。 大麻使用疑惑で除名された力士の解雇無効の訴訟においては、 原告側は、力士と協会の関係について「協会の定款に相当する「寄付行為」によれば、力士は、相撲道に精進し(協会寄付行為三五条七項)、有給で(同条八項)、幕下以下の指導に当たるとともに、人格の陶冶・技量の錬磨に努めることを義務づけられ、被告から、その階級に応じた月給の支給を受ける(協会寄付行為細則七八条)ので協会と力士との契約は労働契約であり、原告らは労働契約法に規定する労働者である。」と主張し、 被告協会は「力士は、協会の指揮命令下の労務に従事していないし、力士の時間外勤務や勤怠事由を定める規則はなく、労働時間の観念はない。力士の定年に関する規則はない。力士は、勝敗に応じて番付が変動し、月給額が変化するのであり、被告の査定で月給額が決定されない。力士の月給は、労働の対価ではなく、歴史的にも、興業利益配当金の性格を有する。したがって、協会と力士との契約は労働契約ではなく、原告らは労働契約法に規定する労働者ではない。」と主張していた。 この裁判(東京地裁平成22年4月19日判決)は、力士と協会の間の関係について、力士の労働者性に関する明確な判断は行わなかったが解雇処分の有効性について判断していたところを見るとやはり労働者性を前提としているように思われる。 いくら協会が興業利益分配といったところで、休場した力士たちも月給が支給されるのであるから、やはり興業利益の分配というよりは給料なのだろう。協会も力士は指揮命令関係に服していないといったところで、休場していた朝青龍がモンゴルでサッカーをおこなっていたことを大問題としていたあたりは首尾一貫していない気がする。 いま、日本相撲協会のガバナンスに関する独立委員会では、八百長がはびこった理由の一つとして協会と力士との給料体系の問題が議論されているが、今後力士協会間の契約を明確にする必要があるのは間違いない。 八百長撲滅のため力士を純粋に労働者として扱うべきか、興業への参加者と扱うべきかについては両論ありうる。力士が八百長に走る原因が、 a 無気力相撲をしても給与が支払われてしまうからとみるか、 b 相撲協会からの給与だけでは生活ができないから他の利益獲得行動に出てしまうとみるか、 によってあるべき契約の形態が異なってくるかと思われる。 もちろん八百長の問題に関しては、それを誘因する外部者の問題など様々な要素があるので、いかなる契約形態にしても八百長の根本的解決には繋がらないという考え方もある。 法律家の端くれとしては、今回の裁判では協会と力士の契約関係について司法判断がでることに期待する。被災地慰問のための巡業が企画されているが力士たちの参加率、同巡業への参加と給料の支払いの関係性について気になるところだ。また、今月12日には最高裁がオペラ公演の合唱団員(個人事業主)について「女性は公演に不可欠なメンバーとして劇場に組み入れられており、事実上、出演を拒めなかった」として労働組合法上の「労働者」に該当すると判断したことが注目される。 今回提訴を発表した力士は、調査委員会から八百長への関与があると認定され、退職勧告を受けたがそれを拒否したため解雇処分となった者だ。個人的には大麻の問題とは異なり八百長したことで解雇となること自体に問題があるのではないかと思っているが、それはそれとして、本件では、当該力士は八百長を行っていないという理由で解雇が不当であると争っている。 退職金を受け取らず法廷闘争を求めた両力士は、退職金を受け取った無気力力士と異なってかなり気力があるようだ。そういう意味ではこの者たちは八百長をするような性格ではないのではないかと思う。法廷では八百長は通用しないの全力で頑張っていただきたい。 昨日もネットニュースをみていると民事裁判修習で机を並べていたハリー・ポッチャリというあだ名の同期弁護士が映っていた。修習時代に比べてさらにぽっちゃりしていたので少し心配だ。 タツゾー

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