今年の四月はまだ寒くて春が来てない

昨日はエイプリルフールだったが、私は一言も冗談を言わず、その代わりデーブ・スペクターのツイートを見ていた。今日は目黒川のあたりを通ってきたが池尻大橋周辺はまだほとんど桜が咲いていない。

本日の日経は39面(社会)より

運航支配未遂で海賊三人を起訴 裁判員裁判で審理へ

2009年3月に起きたインド洋オマーン沖で商船三井が運航するタンカーが襲撃された事件で東京地検は自称ソマリア人の被疑者4名のうち成人である3人を海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(海賊対処法)違反で起訴、未成年である1名を家庭裁判所に送致したという。少年は今後どうなるかは不明であるが、起訴した成人に関しては裁判員裁判で審理されることになるという。

裁判員裁判対象となるのは、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項)であるが、今回問題となっている海賊対処法2条1号後段、3条1項の「運航支配罪」、その未遂(3条2項)は、法定刑が無期または5年以上の懲役となっていることから裁判員裁判対象となったものだ。海賊対処法の規定
 第二条  この法律において「海賊行為」とは、船舶(軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶を除く。)に乗り組み又は乗船した者が、私的目的で、公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)又は我が国の領海若しくは内水において行う次の各号のいずれかの行為をいう。
 一  暴行若しくは脅迫を用い、又はその他の方法により人を抵抗不能の状態に陥れて、航行中の他の船舶を強取し、又はほしいままにその運航を支配する行為
 二号以下略
 (海賊行為に関する罪)
 第三条  前条第一号から第四号までのいずれかに係る海賊行為をした者は、無期又は五年以上の懲役に処する。
2  前項の罪(前条第四号に係る海賊行為に係るものを除く。)の未遂は、罰する。

私は裁判員裁判制度に関して特段反対していたわけではなかったのだけれど、今週の日経社会面記事、そして今日のこの記事を見て、裁判員制度はやっぱり廃止した方が良いのではないかと思い始めている。
今週は、裁判員裁判に関する控訴審で一審無罪判決が東京高等裁判所で逆転する判決が2つもあった。3月29日に現住建造物放火に関する一審無罪判決の破棄差し戻し、30日には千葉地裁での覚せい剤取締法違反事件(営利目的輸入)での無罪判決について破棄自判(懲役10年罰金600万円)。この2つの逆転判断については、福岡弁護士会の「ろぼっと軽ジK」弁護士もブログにて紹介をし、裁判員裁判に反対をしているところだ。同弁護士は(以下記事引用)
 税金と市民の時間の無駄遣いです。
 当該被告人が希望しない場合には、
 裁判員裁判を採用しない法制度に
 改正すべきだとますます思いました。
http://ameblo.jp/fben/day-20110401.html

と述べている。破棄された現住建造物放火事件の差戻し審で、再び裁判員が選任されて審理がされることになるかと思うと、なんだかなぁという気がする。

今回のソマリア人の海賊事件も市民参加の必要が果たしてあるのだろうかと疑問に思っている。この裁判では、海賊が日本船舶の運航支配をしようとしたことについて、有罪か無罪か、つまり運航支配をする目的があったのか否か、そしてその場合の量刑はどれほどが相当なのかについて、裁判官と裁判員が協働で評議をしながら判決を下すことになる。この裁判では検察官、弁護人、裁判官が日本語で質問し、それに対してソマリ語(もしくはもっとマイナーな言語)の通訳が被告人らの言葉を日本語で通訳することになる。
被告人らの生い立ち、犯行にいたった経緯などが裁判で明らかになると思われるが、裁判員たちはソマリアの民族紛争や社会問題も知ることになる、そして全く育ってきた環境の違う彼らに、どのような刑を科せばよいのか、判断は極めて困難だ。
こういった外国人事件に関する裁判費用が税金の無駄であると思っているわけではないが、果たしてこのような裁判のために膨大な時間を拘束することについて裁判員対象者たちから納得が得られるのか、そこまでして司法への市民参加が必要なのか疑問に思う。裁かれる者としても、市民参加による審理が被告人として権利保障につながるとは限らない。
「どうせ素人の判断は破棄されてしまう」「この国家の一大事になんで人それも海賊の人生を裁かなければならないのか」という意見がでることは確実だろう。今週の相次ぐ高裁での破棄判決は、これからの裁判員候補者たちにとって、裁判員となることへの意欲をさらに削いでしまう気がしてならない。

およそ今回の事件について裁判員に選任されて前向きに考えられる人はいないと思う。被告人がジョニー・デップ似であれば話は別かもしれませんが。

タツゾー

関連記事

カテゴリー: 社会   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク