月別アーカイブ: 10月 2011

第三の開国奴

先週は渋谷ユーロスペースにて映画「サウダーヂ」を見てきた。 かなりの傑作にもかかわらずそこまで混んでいないようなので,映画の告知をすると,この映画の舞台となっている山梨県甲府市は日本中の地方都市がそうであるように中心街がシャッター通りとなり,街を歩くひとはほとんどいない。そのかわりに休みの日に郊外のショッピングモールに行けば,平日は毎日顔を合わせている上司の家族に出くわしてしまう。この典型的な地方都市の光景は2000年の大店法廃止そして大規模小売店舗立地法の制定から加速的に進行したものであるけれども,この映画が光を当てたのは多くの報道番組が映し出すようなシャッター通りの地方都市ではなく,日本全体が直面している閉塞感であり,近い将来確実に訪れるであろう歪んだ国際化の姿だ。この映画の中で甲府市郊外に新たに大型ショッピングモールの建設が開始されても,地元の土方作業員には仕事がなく,廃業に追い込まれる。大企業やチェーン店の進出が地方都市の雇用は創出しないが,それでもその地に住む人々はショッピングモールにお金を吸い上げられることに疑問を持つことがない。 肉体労働の作業員や介護士,そしてホステスとして熱意をもって働き日本語を流暢に話す外国人労働者が増える一方,日本人の若者は家に引きこもり,無為徒食の生活を送る者が増えていく。この映画では,仕事を失った日本人がその理由を外国人労働者の増加にあると思い込んでいるが,一方の外国人労働者たちは,安い賃金でも働く環境がなくなってしまい,将来性を見出すことができず日本に見切りをつけて本国に帰って行く。 この映画は決してナショナリズム的ラッパー映画ではない。世の娯楽映画が与えるような明るさも希望のようなものも一切ない。政治家の言葉,政党のマニフェストは国民に希望を与えるような理想論を掲げるが,それが国民に一時的な期待を持たせるだけで,5年,10年後にはさらに市民の首を絞めつけて交代交代で政を行っていく。 すべての外国人労働者に戻るべき故郷があるわけではない。郷愁を感じるべき故郷をもたないのは外国人だけではなく日本人も同じになっている。この映画はこの十年の我が国の国政・地方政治に共通するお決まりの構図を,土木現場,ストリート,さびれたスナックの視点からリアルに描いた秀逸な映画だ。シャッター通りを歩きながらくたびれた中年の路上ミュージシャンに出会ったヤマナシノラッパーが吐き出すリリックは,人のいないシャッター通りでは,誰にも届くことがない。だから私たちはこの映画を観なければならない。 さて本日の日経は,5面(経済)より TPP国内議論に偏り 「農業」「医療」に集中 米は来月の大枠合意促す 11月12日にハワイで開催されるAPEC首脳会議を前に,日本政府の環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加の判断をめぐる調整が大詰めを迎えている。日経新聞によれば,日本国内では農業,医療など個別分野についての利害に焦点が当たりがちで自由貿易の利益を享受するTPP本来の目的が見失われ,交渉参加への議論が遅れ,問題とのこと。今後政府・民主三役会議で方針決定をし,11月7日の週には方針の取りまとめがされるという。 また,記事によれば現状の国内の議論は関税撤廃による輸入農産物の影響をうける農業団体に代表される個別の利害関係者からの反発や誤解に基づているという。この数か月,TPPの話題は日経新聞を賑わし続けていたが,私は正直あまり興味がわかず流し読みだった。その理由がやっとはっきりした。要するに新聞記事というものは,あることに肯定的な論調だと人の興味を引くことがないようだ。最近やっと,銀座や霞が関にトラクターがやってきてTPP参加交渉抗議のデモが行われたり,京都大学準教授の中野剛志氏がユーチューブや特ダネで凄い論調でTPP報道を批判している姿を目の当たりにすることにより,マチ弁の私もTPPの是非について考えることとなった。 私がここでTPPに関する特別な問題を解説したとしても所詮知識の受け売りにすぎないので,農業に与える影響などは特に書くことはしない。 まず最初に言いたいのは,おそらく,この制度で貿易の自由化がされると恩恵を受けるのは製造業,小売業,商社,株式市場,そして大企業に広告欄を売って広告収入を得る日経新聞くらいであるので,TPP参加の議論の本質をつかむには日経新聞は不適であるということが分かった。 TPPの参加により日本の圧倒的多数の中小企業は外資企業と輸出拡大と海外生産コストを低くし収益性を高めた国内大企業との競争に敗れ,また,労働者は人件費の安い外国人にとって替わられ産業空洞化が起こり,地域経済のさらなる悪化がおこることはほぼ間違いない。一般人の受ける恩恵といえば,若干安くなる外国牛肉と外国米などを購入できるということで,確かにわかりやすく目に見える恩恵ではある。しかし,それが金科玉条として語られている自由貿易による恩恵だとすれば,消費者の恩恵というのははっきり言って大したものではないと考えるべきである。そもそも消費者感覚として食品や電化製品が高いなどという人間は極めて少数であり,やれ米が高い,肉が高いから消費を控えるなどという消費者はそうはいない(そのような一部消費者が関税障壁撤廃によって,物価に関する不満が解消するとは到底思えない)。 専門から外れるのでざっとまとめると(というか次の用事に遅れるので無理矢理まとめると),TPP参加交渉議論の問題点は,私は以下の3点だと思っている。 1 条約という法律に優位する法規の制定交渉であるにもかかわらず協定全体の説明をせず,TPPが輸出入の関税障壁の撤廃であると話を矮小化している 2 今後の交渉によっては参加見送りや関税撤廃に関する例外を設けることができるという誤った議論をしている 3 交渉に参加するだけで加盟するわけではないので,今反対する必要はないというが,条約の交渉参加の国際慣習上の意味についての説明が欠落している 日経新聞読者層というのは,金融関係者,朝満員電車に乗るタイプのビジネスマン,就職活動中または就職数年目で経済を勉強したいと考えているかけ出し社会人,多かれ少なかれ金融商品を買おうという意欲がある相対的特権階級層なのではないかと思うが,これらの読者が,TPPによる自由貿易が実際に日本にどのような利益を与えるかについても説明を求められても回答できる人間はほぼいないと思われるのであるが,おそらくTPPの枠組みで一番の問題は11章の政府調達の外国への市場開放による競争入札への参加要件の緩和である。これは国内産業に最も大打撃を与え,倒産,失業率の悪化,賃金の低下など,国民生活に直結する問題であるにも関わらず,おそらく多くの中小企業経営者,労働者層はTPPがこのような内容も含んでいることを知らないし,私が知る限りではマスコミも十分に説明していない。 今日の日経記事なんて「国全体で自由貿易の利益をどう享受していくか」という,一部事業者のみの利益を国全体の利益かのように説明し,国民の一部反発は誤解に基づく云々と書くなど,完全にTPP参加が国益をもたらすという結論先取りの偏向記事だ。 確かに,考えてみますと,日経は大企業と投資家を代弁する新聞で,「労働者の意見が知りたいなら赤旗」,「消費者の意見を知りたいなら毎日」,「平和主義なら聖教」というのは私も重々承知していますが,本当にTPPに関する日経の偏向記事にはがっかりしました。 そして,次の問題として,交渉によっては関税撤廃について例外をつければよい(おそらくこれは米などを予定している)という論調については,TPPがFTA等とは異なり,加盟国に強固かつ緊密な経済圏を構築しようとするものであるというそもそもの趣旨を無視した議論であり,楽観論すぎていつから日経さんはそんな新聞になったのですかと突っ込まざるを得ない。 最後に第3の問題だが,私も疲れてきたので,短くまとめると,交渉への参加ということの国際政治上の意味合いというのは私には良くわからないが,特ダネにでていた中野剛志准教授によれば,それは「婚約」に値するというのは国際政治の常識であるとのことだ。婚約を破棄すれば,大きな国交問題に発展することは目に見えている。 さらに,私が腑に落ちないのは,政府がTPP参加交渉についてあまりに拙速に方針決定しようとしている理由が,12月に大統領選を控えたオバマのお願いを聞き入れ,対米関係円滑化の切り札的としてハワイでのAPEC首脳会議で交渉参加を表明しようとしていることが見え見えであることだ。確かにハワイはオバマ大統領のの故郷だからハワイで日本とTPPの婚約をしたいとの気持ちはわからないでもない。 だけれど,私個人的な気持ちとしては婚約ならNYがいいなぁ。 タツゾー

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スマホが攻めてきたッ!

高校時代にクラスメイトが地理の授業中に雑誌を読んでいたので,私がそれを借りたところ先生に見つかり,その時にたまたま開いていたページに眞鍋かをりの写真が出ていた。先生は雑誌を取り上げると「タツゾーちゃん,こんなのはなあ,いないのッ!」と高校生の私を叱った。昨夜は映画「モテキ」を見て,眞鍋かをり級がいないってことはないだろうけれども,ヒロインだった長澤まさみの様な女の子は確かにいないんじゃないかなぁと高校時代を思い出していた。そういえば,叱るべきはそういうことじゃなかったのではないだろうか。。 ドラマが映画化された「モテキ」の主人公は,90年代のサブカル好きで,ドラマをやっている頃に,友人から「タツゾー君もたぶんこのドラマ好きだと思う」と言われたことがあり,とても気になっていた。昨夜映画化で注意深く見ると,確かに主人公の部屋には,コーネリアスやハイスタのレコード,そしてピチカートや細野晴臣「泰安洋行」のポスターまであるではないか。舞台も良く知っている街角の風景やお店が出てきて渋谷系の残党を自称していた僕には決して退屈な映画ではなかったけれども,作品自体は「(500)日のサマー」のオマージュを超えたパクリみたいで,そういう意味で面白かったといったくらい。とはいっても,邦画でこれだけヒットしているということは本当にすごいことだと思う。 今日の日経は15面(投資・財務)より 裾野広がるスマホ関連ビジネス 新興企業の成長後押し スマートフォン(スマホ)の普及に伴い携帯ゲームや広告,ソフト関連の新興企業が収益面で恩恵を受けているという。スマホ向け広告の売上高も,四半期ごとに倍増のペースで拡大しているとのことで,株式市場でもスマホ関連銘柄の注目度は高いという。今日からはKDDI(au)でもi Phoneの取り扱いが始まるなどスマホ市場の競争は激化しており,旧機種の値崩れが進んでいるという。また,スマホ関連の事業に関しても競争が激しくなるとみられており,「企業の優勝劣敗が鮮明になり,業界再編が進む可能性がある」とみる専門家もいるとのことだ。 確かに最近は,スマホ,アプリ,SNSなどの言葉が街なかやネット上だけではなく,オフィシャルな会議や新聞の経済面などでも耳に目にするようになり,世の中もスマホ一色であると感じる。映画モテキでも主人公や登場人物達は常にスマホを使用していて,主人公はツィッターでヒロインに出会ったり,スマホの携帯音楽プレイヤーをかけながら自らを鼓舞するなどしている。主人公の職場もほぼ全員がスマホを利用しツィッターをするなど,テレヴィドラマかと思うほど本当にライドオンタイムな内容だった。この映画の主人公森山未來は,オタク系でありながらおしゃれだったりして自分の周りにもそういう人間が結構いる気がする。ただ,我々世の中の男どもは,この映画に出てくるような「恋が攻めてくる」ことなんてそうそうあるものではないし,モテ期と勘違いして森山未來の真似をすると普通は警察沙汰になるので気をつける必要がある。 私の周りでも最近どんどん普通の携帯電話からスマホに乗り換える方が増えていて,これだけの普及のスピードであれば今後も中高年層にどんどんスマホが拡大していくのは間違いなさそうだ。今後もこの業界はビジネス的に成功するものが増えていくものと思われ,言ってしまえば,スマホ業界は超モテキである。 いつか私がIT業界の人たちの集まる飲み会に行った時もIT社長がいて,エクスターンに来ている学生たちに,「iPhoneアプリを作れるようになればモテるぞ」みたいなことを言っていたが,やっぱり今は完全にスマホがもてはやされる時代のようだ。 スマホ業界と異なり我々の業界では,売り上げ減,就職難などが騒がれ,ananか何かの調査によると,恋人にしたい業種においてもはや弁護士や会計士という業種は特権的地位はなくなり,SEとかのほうがよっぽどウケがいいらしい。携帯電話でいう旧機種のように駆逐されることの無いよう,私もこれからはiPhoneアプリ作りを始めようかと思っています。 こんな事ばかり書いてちゃ,全く事務所の宣伝にならないですね。次回から真面目に行きますッ。 タツゾー

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オールスター感謝祭に出ていたスター達はどこへ行った

今日は体育の日。私は昔から運動神経は良くないので運動会というものはあまり好きではなかった。小さいころ好きな運動会と言えば,TBSで放送していた安岡力也やチャック・ウィルソンなどが出ていた「オールスター感謝祭」という番組くらいで,私は毎年とても楽しみに見ていたのだが,チャックはあまりにエキサイティングしてケガ人を出すなどしたため,残念ながらいつの間にか番組にでなくなってしまった。 さて,本日の日経は31面(社会)より 綱引きの綱切れ14人が重軽傷 昭島地元の運動会 9日,昭島市の小学校校庭で地元の自治会などが主催した運動会中に,約160人が参加し80人ずつに分かれて綱をひいていたところ,2回目の競技中に綱が突然真ん中から切れて参加した14人が重軽症を負ったという。せっかくの運動会にも関わらず怪我をされた方々は本当にお気の毒なのだが,こういった祭事に事故は付き物だ。 このような事故があった場合には,基本的には主催者が民事上,刑事上の責任を負う可能性があり,警察による捜査がされることもある。 学校主催の運動会であれば責任の所在は,公立学校であれば公共団体(刑事責任では監督者である校長か),私立学校であれば学校法人となるが,今回事故のあった運動会は,新聞報道にもあるように地元の自治会などが主催したものらしい。 運動会というのは,先ほど述べたオールスター感謝祭や芸能人水泳大会を除くと,大まかに分ければ学校主催の児童が参加者となる運動会と,地域自治会主催の成人も参加する運動会の二つに分類されると思うのだが,後者の運動会というのは,主催者や責任者の問題など非常に複雑な問題を孕んでいる。このような自治会主催の運動会も公立学校の校庭などを使用する以上,公共団体への使用許可を申請しているものと思われるので当然責任者というか代表者はいるが,参加者を含めた協働的側面が強く責任の所在が不明確だと思う。また学校教育の一環である運動会と比べ,その参加が原則的に自由であるという点で前者の運動会とは根本的に種類が異なる。 どのような運動会であっても開催責任者は,危険が予見された場合(たとえば運動会の途中に雷が鳴りだした場合や危険人物が乱入しカオス状態になった場合など)には,行事を中断するなどの監督責任があるものと思われる。もちろん今回のような運動会で使用する器具の安全性についても,責任者は業務上必要な注意をもって確認すべきであり,また,実際の利用方法についても器具の利用方法に適合したものであるか確認する必要がある。とは言ってもこのようなイベントごとに関しては民事上の責任は基本的には保険によりカバーされるものと思われる。 学校主催の運動会であれば,事故によって怪我をした場合にはスポーツ安全保険によって補償がされ,自治会等主催の運動会の場合に保険が適用されるのかは,軽く調べた限りではよくわからなかったがいわゆるイベント保険というものの傷害保険で治療費などが支払われることが多いものと思われる。 本件では立件の可能性は低いと思われるが特殊事案にかんしては責任者の業務上過失傷害事件として刑事事件となる可能性もある。例えば10数年前のオールスター感謝祭の騎馬戦(と言っても分かる人は少ないと思うが)などで大けがをした場合には,興業責任者が刑事責任を問われることもある。この問題についてはかつて,フジテレビの看板番組が打ち切りとなったこともある(なお,同事件では関係者は不起訴とされたとのこと)。 綱引きに関しては,160人の参加という使用方法が不相当なものでなければ,刑事責任を問うほどのことではないと思われるが,貸出時に綱に何らかの瑕疵があるのであれば学校側に国賠法上の民事責任が認められてもおかしくはないのではなかろうか。そういうわけなので,今回の事故については自治会だけではなく,公共団体も協力的に事故被害の回復に動いて行けばいいなと思います。 最近はボランティアの参加者も増えており,そのような活動には様々な事故が伴うため様々な保険商品が増えている。自由参加の活動から生じる危険は,基本的には自らが引き受けなければならないものなので,ぜひともボランティアを行う際には各種の保険に加入することをお勧めしたい。私も,目黒区の公園での野外活動をするに際してボランティア保険に加入した。 この数年オールスター感謝祭の司会をしてきた島田紳助もいつの間にか芸能界を引退してしまったし,オールスター感謝祭も面白みがなくなってもう見る気がしない。最近では暴対法や暴力団排除条例の影響からかチャック・ウィルソンと闘っていた坊主のプロレスラーの組長も見かけなくなっちゃいました。 えっ?あの方は別に暴力団じゃないんですか。 タツゾウ

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