月別アーカイブ: 12月 2011

2011年を振り返って

来年は辰年のため、辰年生まれですかと聞かれることがありますが、私は辰年生まれではない。 さて、今年は私の生活スタイルもガラッと変わってあまり映画を見に行くことができなくなりました。そのなかで見た数少ない映画の中では、イーストウッドの「ヒアアフター」や、シャブロルの「引き裂かれた女」など感慨深い作品が多かったですが、今年のベスト3本は、 1.イエジー・スコリモフスキ   エッセンシャル・キリング  本能、理性、優しさ、人間、自然、命、とは何かを台詞なしで見事語り尽くした傑作 2.冨田克也  サウダーヂ  なんだかムカつくことすげーいっぱいな社会をストリートからリアルに描いた秀作 3.瀬田なつき  嘘つきみー君と壊れたまーちゃん  大物俳優たちを退ける染谷将太の演技力が圧巻。  映像、音楽、そして俳優陣、すべてがポップでキャッチーな青春映画 です。 さて本日の日経新聞は2面(社説)より 継続雇用の義務付けは経済の活力そぐ 厚生労働省はこの年末に、企業に定年後も65歳までは希望者全員を継続して雇用することを義務付ける案をまとめた。この法案について日経論説委員は、この雇用継続の義務化により人件費の膨張により若手の採用が抑えられることになり情報サービス分野で活力を失うことになり企業経営に大きな影響を及ぼすと批判している。 私もこの社説には同感であり継続雇用義務付け法案には反対である。 平均寿命の伸長に伴い、60歳という定年年齢が低すぎることになったというのはその通りで、年金の支給開始年齢の引き上げがあるので定年後の就業先を拡充するための就業支援政策を打ち出すべきなのはごもっともであるが、継続雇用義務付けというのは、恐ろしい制度であると断ぜざるを得ない。 この社説で触れられている、欧州財政危機、円高などの企業の経営環境の不透明さが増しているなかの人件費負担の増大という企業経営上の懸念はその通りであり、法律による義務化というのは想像をはるかに上回る負担であろう。私がそれ以上に問題視しているのは、この義務付けが定年まで無事に働き終えることのできた層を対象とした優遇政策であることだ。すなわち、定年後の雇用継続義務化は、もっと光の当たるべき、中途退職者すなわちリストラによる早期退職をした者や期間社員となっている中高年層を保護する内容は一切含まれていない。 この法改正は、これらの者に対して年金支給までの生活を保障しようとするものではなく、たかだか相対的高所得者層を一層保護するものに過ぎない。いってしまえば優先順位の低い問題について何らかの政治的理由で優先的に保護しようとしているものに思える。 この法改正の結果予想されるのは、新規採用の萎縮にとどまらず、定年まで雇用した場合の人件費増大を憂慮し又は高給層の残置による大幅な人件費増により、企業に対しより一層のリストラや、非正規労働者志向を進めさせることだ。あたかも労働者保護に厚い政策に見えるこの法改正は、現在の非正規労働者層や失業者、失業者予備軍に目を向けない政策である。民主党が労組に迎合した政策を打ち出すのは仕方がないといえばそれまでだが、正直もっともっとこの法改正案に反対意見が上がってこなければならない。最近の私の関心事は富の世代間格差にあるが、この改正は、世代間だけでなく雇用上の地位に応じた所得格差を一層広げることになるのは間違いない。 最近の経済情勢は不確定要素だらけで、大学に出ても就職できないことや、地方の失業率の悪化などは、20年前からすれば予想もつかないことだったと思う。そういう意味では、年金支給年齢の引き上げというレヴェルの問題で、定年後も継続雇用を義務付けるというあまりに代償の大きい制度変更をするに値する立法事実と考えたのは間違いではないか。今政府が保護すべきは年金受給が遠のいてしまった定年間近の正社員層ではないことは明らかである。 また、有期労働に関しても雇用期間が5年を超えた場合に本人の申し出があれば無期雇用へ転換させる法案も併せてだされているが、この改正により非正規雇用が減るというのは完全な楽観論であり、この見込み違いの法改正により、施行前に多くの契約切り現象が起こるのではないかと心配でならない。 野田総理や閣僚たちは年末もなくバタバタ仕事していたかと思えば、こんな法案を作成したり、八ツ場ダムの建設再開の予算を付けるなどしていたようで、正直民主党政権には失望してしまった。 さて、そんなこんなで今年ももうすぐ終わりですが、2011年は新年からグルーポンのお節がまずかった話題や、大震災、原発事故、TPP問題、ナベツネ問題などいろいろなニュースにコメントを出してきました。 また今年は日本でもfacebookなどのSNSが爆発的に普及するなどして、私の生活もSNSなしでは考えられないものになった。 個人的には、刑事事件を抱えている関係で年末年始も休みはありませんが、皆様よいお年をお迎え下さい。 なお、私事で恐縮ですが年の瀬に急遽北の将軍が他界されました故、喪中のため新年のご挨拶は控えさせていただきますことご容赦願います。 こんな高橋ですが、来年もどうぞよろしくお願いいたします。 タツゾー

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渡辺恒雄球団会長に告ぐ

この数週間休みなく働いてきたので、またまたひと月ぶりの更新となってしまった。本当なら昨日ブログの更新をしたい日経記事があったのですが、全く時間が作れず今日になってしまった。 そんな本日は14日付けの日経朝刊38面(社会)より。 清武氏が賠償提訴 6200万円、巨人などを相手に 巨人のコーチ人事を巡ってナベツネ(通称 渡辺恒雄)球団会長を批判し、球団代表兼ゼネラルマネージャーなどの役職を解任された清武英利氏が13日、解任には正当な理由がないとして球団と親会社の読売新聞グループ本社、渡辺氏を相手取って、計約6200万円の損害賠償と謝罪広告を求める訴訟を東京地裁に提訴したという。一方、球団側(運営会社である株式会社読売巨人軍、親会社である株式会社読売新聞グループ本社)は、12月5日、既に清武氏に計1億円の損害賠償を求める訴訟を提起しており、これら訴訟は東京地裁で併合審理されることになるとみられている。 今回の清武氏の訴状によれば、「確定したコーチ人事は渡辺氏といえども覆すことができない」として、渡辺氏を批判しているという。 清武氏の今回の提訴は渡辺氏と読売新聞については名誉毀損の損害賠償、株式会社巨人軍については会社法339条に基づく損害賠償と名誉毀損による損害賠償と思われる。 清武氏の裁判で争点となる取締役解任に「正当な理由」がない場合の損害賠償というのは会社法で次のように定められている。 第三百三十九条(解任)   1 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。 2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。 なお、この「解任によって生じた損害」というのは、任期までの取締役報酬をさすというのが一般的な理解である。この清武氏の役員報酬額の高額性については、今日地下鉄で見かけたタブロイド誌を賑わしていたが、この点については今回は踏み込まないこととする。 そもそも、スポーツチームのコーチ人事に関して運営企業の会長(代表取締役)の介入権の有無について司法審査可能な問題なのか、さらに司法の場でそんなことを審理する必要性があるのか疑問だ。 また、この訴訟における訴状で渡辺氏を批判してどうするのかというツッコミはさておき、この清武氏の訴訟はあまり勝ち目はなく、むしろ個人の利益というよりは組織の公正性を求める客観訴訟的側面(または金持ち同士の意地と見栄の張り合い)があるようにも感じるのは私だけではあるまい。 巨人軍代表であり専務取締役であった清武氏は、 1 . 会長である渡辺氏が鶴の一声でコーチ人事に介入し、江川氏をコーチに迎え入れたことを批判する目的で独断で記者会見を開いたことが株式会社読売巨人軍における会社定款に違反し、 2. 会見内容が誤った事実に基づくもので巨人軍や読売新聞社の名誉を棄損したことが、取締役としての忠実義務に違反している として、株式会社読売巨人軍の取締役でゼネラルマネージャー及び球団代表の役職を解任されるにいたった。 なお、株式会社読売巨人軍の親会社であり唯一の株主である読売新聞グループ本社が、清武氏を株式会社読売巨人軍の取締役としても解任したのかは、不明であるが、おそらく取締役としても解任されているものと思われる(取締役会で解任されたのは、ゼネラルマネージャー・球団代表としての地位だろうか)。 清武氏及び会見に同伴した弁護士によれば、「巨人の来季のヘッドコーチ人事を巡って渡邉恒雄球団会長が不当に介入したことについて、会社の内部統制とコンプライアンスを破った」というものであるが、ここでの「コンプライアンス」という用語の意味については各方面から様々な意見が出されている。 この会見に関していえば、少なくともコーチの人事という問題には、球団と関係のない一般人にまで公にするべき公益性はありえないし、オリンパス問題のように記者会見で暴露すべき問題とは到底いえないと思われる。そうであるとすれば、大王製紙、オリンパスという経済犯罪事例を引き合いに出した清武氏の表現の方がよっぽど渡辺氏に対する名誉棄損だろうと思う。 清武氏は今回の訴訟で謝罪広告を求めているが、渡辺氏の独裁っぷりを、だじゃれのつもりどうかはわからないが大王製紙を引き合いに出すなどして批判したのであるから、渡辺氏は反論談話にて当然対抗言論をする自由があるとだろう。さらに、これまでの報道を見る限り、少なくとも渡辺氏の発言は清武氏の名誉を毀損するようなものとは思えない。 そういう意味では、清武氏の謝罪広告の請求は明らかに無理筋な請求であると思われるし、解任に関してもこれだけ会社を批判する取締役を解任したことに正当な理由が認められるのは必至なのではないかと思われる。 騒動の後、巨人軍や読売新聞グループの担当者はことごとく清武批判に回っている。このような状況をみると、渡辺氏は独裁者であったとしても、巨人軍という会社組織のステークホルダー達からすると清武氏よりよっぽど人望が厚かったのではないかと思われる。 渡辺氏は今回の法廷闘争について最高級弁護士を10人用意しているらしいが、この事件に関してはそれほど高級な弁護士を使わずともなんとかなるのではなかろうか。この渡辺氏の姿は、ベイスターズ相手に各球団の4番打者やエース級の投手達を寄せ集めて挑むどこかの球団を見るようだ。それとも、渡辺氏は、清武氏の不当訴訟により、応訴について半端じゃない弁護士費用がかかったとして、その損害を賠償させたいのだろうか。 私が心配するのは、高級取りの選手達をあまり集めすぎるとチームワークがうまく働かず、なかなか良い結果が出ないことがあるということだ。 最高級弁護士を10人つけたという渡辺氏の心の内はよくわからないが、もしよろしければ弱小の街弁の私も渡辺弁護団にいれていただけはしないだろうか。 この事件は突っ込みどころ満載であるので、この問題については、連載で迫っていきたいと思っている。そして連載が終わる頃には、私も最高級弁護士の末席で11人目として鞄持ちくらいさせてもらえる日がくることを夢見ている。 タツゾー

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