月別アーカイブ: 8月 2012

弁護士高橋辰三は何の専門弁護士かというと

信じてもらえるか分からないが、実は私のブログのファンの法律事務所秘書が結構いる。先日も知り合いの事務所に仕事でお邪魔した際に、最近ブログの更新がないんですね、なんて言われたりもして、ブログの更新がないので心配になっている人も多いのではないかと思い、ブログを更新します。別に仕事が忙しい訳ではなく、遊びが忙しいからに他なりません。 さて、今日の東京新聞注目の記事は3面(総合)より 「専門弁護士制度」日弁連が創設検討   各地で反対 日弁連は相続や医療過誤など特定の分野に精通した専門弁護士を認定制度の創設を検討しているとのこと。同制度について日弁連は、依頼者が弁護士の力量や専門分野をわかりやすくすることで、得意分野を積極的に打ち出すことで顧客が増え、弁護士の経営難を打破するきっかけになると説明している。この専門弁護士として認定されるためには、3年以上の実務経験や、3年間で10件以上の処理件数、日弁連での20時間以上の研修を認定の要件とすることが検討されているという。これに対し、各単位会は「処理件数を増やそうと事件を粗雑に扱いかねない」「相談件数の少ない地方に不利な制度だ」と反対の声も上がっているらしい。 私自身も、もう嫌というほど「弁護士をされているんですか、何のご専門ですか」、と聞かれるが、専門なんてないというのが正直なところだ。この1年くらいは毎月4件くらい刑事事件を受任して月に2件は示談をしているから刑事事件は多くやっているし、個人的な付き合いで不動産関係紛争や契約書作成などは常にあるけれど、刑事の難解事件をうまく解決する自信はないし、不動産関係も専門的技能、知識を持っているわけでもない。ただ、個人的な興味(のなさ)からクレサラ事件とか、交通事故事件はあまりやらないので不得意だし、医療過誤、特許訴訟などは対応不可能だと思う。 そういうわけで、「何の専門弁護士なんですか」と聞かれると、色々やってます、とかしか答えないのだけど、そういう答えでは残念そうな顔をされたりする。最近では、「正直な話、あまり仕事はしていません。遊びに力を入れています」とか「ゴルフ専門になりたいです」なんて言って、その場は済ませている。 最近は弁護士業界も不況であることは間違いなく、黙っていては仕事もこないので、ウェブ広告を大々的に行っている事務所も多い。交通事故専門、離婚専門、税務訴訟専門と同じ事務所が謳っていることもあり、一体何の専門なんだ、と突っ込みたくなることもある。 この間見てびっくりしたのは、ナイトワーク法務という分野の広告で、銀座、六本木などの水商売特有の法律問題(店から日払い給与が支払われない、罰金を請求された)の対応をするという内容で、成功報酬が経済的利益の45%とか書いてあってびっくりしたこともある。大体にして、水商売特有の問題と言いながらも単なる労働問題、一般的金銭トラブルに過ぎないのに水商売関係の専門分野と括り高額な弁護士費用を依頼者の無知に乗じて取るような広告はどうなんだろうと思ったりする。しかもその広告をやっている弁護士は登録1年目とかで、いつそんな銀座ルールとか水商売法務に詳しくなったんだ、とまたもや突っ込みたくなる。 私も正直、スナックやその他飲食店のツケや風俗業務従事者と反社会勢力の金銭関係につき、事件関係者や個人的付き合いから詳しく知ることがあるが、水商売関係法務の専門なんて謳ったら、弁護士報酬をそういうところに使っているんじゃないかと思われそうで、全くやる気がしない。 とにかく最近は弁護士業務の広告市場は凄まじく拡大しているが、今日も、ウェブ広告の会社が毎月3件平均のペースで債務整理案件を紹介できるというサイトへの登録の営業電話をかけてきたが、私は知り合い以外の債務整理事件をやらないため、「業務多忙で今は広告にお金をかける気はありません」と話すと、「どこから依頼が来るんですか?」と聞いてきて、なんであなたにそんなことを話す必要があるんだ、と憤慨しそうになったが、とにかく最近も弁護士の業務獲得関係の営業電話が多くて、しかも営業電話の質が悪くウンザリする。 この際なので、書いておくと、私は顧客拡大が狙っていませんので、営業電話は止めて頂きたいです。あと、コピー機を交換する気もないので、コピー業者さんは電話しないで下さい。 さて、日弁連が創設中の専門弁護士制度だが、これも完全に無意味な制度で少なくとも市民のためにならないし、むしろ有害な制度であるとおもう。そもそも何件か経験すれば良い解決ができる程、法律紛争は定型的なものではないし、何件経験しても、イマイチ紛争解決をできない弁護士もいるし、専門弁護士と謳わないと事件獲得ができないのであれば、それは果たして、そのような弁護士に専門弁護士という肩書きを与えて市民にアクセスし易くすべきか疑問だ。 私は、○○専門とか○○が得意と謳って依頼者を獲得することは弁護士業界内の競争として、各人が自己責任で自由にやれば良いとおもうが、日弁連が研修などを課して認定する問題ではないと思う。そもそも本当の有能な弁護士は営業活動なんてあまりしていないし、そういう弁護士こそ、弁護士会が推薦すべきであるが、そんなことをしてはますます仕事の来ない事務所には依頼が来ず、業界不況が深刻化する。 何の専門なのか、というよく一般の方から聞かれる質問に話を戻すと、私はそれなりに事件数をやっている訳だけれど、専門なんて本当にない気がする。 それでも、度胸と誠意があったので大体の事件はそれなりに解決できていると思っている。私は以前にも増して、最近ますます仕事をする時間が減ってきたが、それはひとえに事件解決スピードが速くなったからであって、それは私だけでなく依頼者にとっても素晴らしいことだと思っている。 受任事件数を無理に増やすことはせずに業務時間には常に余裕をもたせることにより、急な依頼にもすぐに対応できるくらいがいいと思う。私は弁護士は業務量は少し足りない位の方がいいのではないかと考えている。そのくらい時間に余裕がないと、受任中の事件への対応がおろそかになりかねない。そういう意味で、私は現在進行形の事件の依頼者のことを専門的に取り扱う専門職でありたいと思うし、ある分野の専門家または多分野の専門家を謳うようにはなりたくない。事件数が常時50件とか、100件とかそういう弁護士もたくさんいるが、私は、あまりに忙しくして、ストレスが溜まってそうな人間には、紛争処理を依頼したいとは思わない。 そんなこんなで、私、タツゾーは、今度「何の専門弁護士ですか?」と聞かれたら「あなたの専門です♡」とか言ってみようかと思っているが、そんな事言ったらますますオバサンにモテちゃって仕事する時間がなくなるからやめておく。 タツゾー

カテゴリー: 総合 |