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スナックで取締役会?

先日、友人を集めて事務所の近くにあるスナックに行くと、ある会社の方々が前社長の退任の宴を催していた。お互いにその夜はこのスナックを貸切状態で使うつもりでいたのだが、運悪くバッティングしてしまったのだ。 さて今日の日経は9面(企業)より。 トヨタ、取締役を大幅削減  10~15人に 経営判断を迅速化 トヨタ社には現在27名の取締役がいるとのことだが、この取締役の員数を10人から15人に減らして経営スピードを速めるらしい。また、同社は取締役以外のいわゆる「執行役員」にあたる常務役員が50人いて、取締役と合わせ、広義の役員が77人いるところ、こちらの人数を60人に減らし、組織のスリム化により経営に関する議論の活発化を目指すとのこと。トヨタの社員で「自分も将来は役員になれるかもしれない」と考えていた社員にとっては、役員になるのがさらに狭き門になったことはとても残念なニュースだろう。 トヨタは、これまで自動車販売台数の増加に伴い経営幹部を増加させてきたが、国際競争の激化、電気自動車などの次世代環境車の導入など、ますます会社意思決定の迅速化が求められることからこのような措置を進めるという。さすがに取締役が27人もいると皆が一堂に会することは不可能と思われるし、テレヴィ会議によって行うとすれば、皆がもじもじしている間にあっという間に時間は過ぎてしまって、活発な議論ができるはずがない。その点、取締役会に参加する人数が10人程度になれば、会に出席した役員の発言もしやすくなるし、意思決定もスムーズになることだろう。 そういえば、スナックでご一緒した会社の方々は、皆役員のようだったので、ひょっとしたら取締役会をしていたのかもしれない。そうであれば悪かったなぁ。。って、そんなわけはないか。 最近(この10年くらい)「執行役員」という言葉をよく耳にするようになったが、会社勤めをしたことがなく、また親も会社員ではなかった私にとって、会社法上の役員を指す「取締役」ではない「執行役員」というのは、いまいちイメージがもてないところだ。取締役ではない以上、執行役員は会社の使用人であり、会社との契約は(取締役が委任契約であるのに対して)雇用契約であり、その業務の対価は役員報酬ではなく賃金になる。しかし、執行役員は、一般的には「会社員」ではなく「会社役員」と呼ばれている。そのあたりが、よくわからないのだ。 執行役員は会社の経営に関与する機関ではなく、あくまで業務の執行をおこなう会社使用人である。なぜ「役員」と呼ばれるのかを考えると、そのくらいのポストの社員は、実際問題として、対外的業務を裁量権をもって行うことが多いので、業務上便宜なように「役」をつけた呼び名を与えているのだろう。 私のデスクにある江頭憲治郎「株式会社法」には執行役員についてこのような説明がある。 「執行役員は、取締役の数の減員を図る上場企業において設けられる例が多いポストで、専務、常務等の肩書が付されることが多い。」 今回の新聞報道によれば、トヨタは取締役を削減し、広義の役員数も減らすということだから、完全に役員としての肩書を失う者が出ることになる。現在50人いるとされるトヨタ車の常務執行役員の方々は、役員ではなくなってしまうかもしれないのでハラハラドキドキしているのかもしれない。 専務や常務の中には法律上の機関である取締役である者(専務取締役など)もいれば、そうではない専務(専務執行役員・常務執行役員)も存在する。会社法をそれなりに学んだ人間からすると、「あの方は会社の役員の方なのよ」と聞くと、取締役なのか否かまで聞きたくなってしまうという悪いくせがあるが、こういう問題は実はナイーブな問題なのかもしれない。 新聞報道などで、人の属性を表す時に、無職、会社員、会社経営、作業員、学生、自営業などの肩書が用いられるが、会社役員というのも人の属性を表す表現の一つだ。それにしても「会社役員」という肩書は響きが良く、憧れるのは私だけではないだろう。 上記書籍の説明のとおり、会社が取締役の員数を減員する際に、取締役でなくなる者に「執行役員」という役職を与えてきたのは、会社の役員登記から名前を消し、取締役報酬を失ってしまう社員に、「役員」という肩書だけは残してあげようとした、経営陣の優しさだったのかもしれない。 今回のトヨタの例のように、取締役の減員に伴い、その者たちを執行役員にスライドさせずに、または既存の執行役員から平社員に降格させて、会社全体の役員数を減らすことが、これからはスタンダードになってくるのかもしれない。これを会社がいつまでも社員に優しい時代ではなくなったというべきか、役員を抱え過ぎて迅速経営ができないようでは国際競争に勝ち残れないという認識が浸透するのか、これからの日本の会社組織の変化が気になるところだ。 スナックでご一緒した会社の方々は非常に和気藹藹としていて、うらやましく感じた。前社長をねぎらう会の終わりに、私たちも一本締めに参加させていただいた(なぜか私の友人が音頭をとった)。きっと取締役会議事録はこんな形で締めくくられていることだろう。 以上をもって、前社長から退任の挨拶があり、議事のすべてを終了したところ、隣のテーブルに座る弁護士とその友人たちから関東一本締めの動議があがり、満場一致で決定したため一本締めにて閉会を宣言した。 本議事の経過及び決議の内容を明確にするため、この議事録を作成する。 平成23年2月10日 株式会社………… 議長取締役…… タツゾー

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