ロックな人には憧れますね

つい二月前、渋谷で街頭ライブを行い義捐金の募集をしていたロック歌手の内田裕也氏が前の交際相手に復縁を迫るためマンションの鍵をunlockして侵入するなどして逮捕された。世の中には聖人君子なんて存在しない。裕也さんには、今回のカギ破りの逮捕にめげず、これからもロックで型破りな活動を続けて行っていただきたい。

さて今日の日経は、3面(総合)より

東電支援、くすぶる難題 原発賠償 枠組み決定 「債権放棄」発言 調整不足、市場に波紋

東電の原子力発電所事故の損害賠償について政府は13日、東電の賠償責任と電力の安定供給の両立を目指すため支援の枠組みを正式決定した。その枠組みは、
①新規立法で東電支援のための機構を設立
②国は機構に交付国債を拠出し、支援財源にする
③機構は東電に融資や資本注入を行い、東電が賠償負担で債務超過に陥らないようにする
というものらしい。
枝野官房長官の債権放棄発言により、銀行株が軒並急落したという。この発言の趣旨は必ずしも明確ではないが、最近感じるのは、とりあえず記者会見で提言し、既成事実・世論を作り上げようという確信犯的であり強引な政治手法を使い過ぎているということだ。
最近やたら債権放棄(民法上の債務免除)という言葉を耳にする。二重ローン問題でも、政府や識者が「金融機関は債権放棄をしろ」といっているが、現実問題としては債権放棄なんてそんなに簡単なものではないし、二重ローン問題に関してはそうすべきではないと思う。被災者救済が重要なのはその通りであるが、損失を民間の一企業である金融機関にしわ寄せさせること、債務者間の公平の問題もあり、債権放棄が実現可能なのか疑問であり、さらに突っ込んでいえば、個人的には不当だと思っている。ありうるとしたら,債務者間において衡平を保つことのできる債務引き受け機構の創設などがあるべき姿ではないだろうか。

債権放棄の問題以上に、異論を持っているのが、政府が進めようとしている原発賠償の枠組みの正当性である。東電の経営安定を目指した支援枠組みというが、個人的には原発賠償に関する政府の対応には疑問を感じている。
私がかねがね思っている問題点は、政府が今回の津波による原発事故について、原子力損害の賠償に関する法律3条1項ただし書きに該当しないことを前提として様々な枠組みを作り始めていることだ。
原子力賠償責任法第三条
 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。

政府が協議している原発賠償の枠組みは、今回の地震・津波が「異常に巨大な天災地変」にあたらない、ということを所与の前提としているが、このことに問題はないのか。私は原子力事故については正直申し上げて無知なので、発言に自信はないが、素人的感覚からすれば、今回の地震・津波が「巨大な天災地変」に該当しないという解釈は常識から離れているのではないかと思う。今回の地震は国土が変わるくらいの文字通りの「天災地変」であったことはだれもが認めるところだ。世の中は、政府、世論、マスコミが一丸となって、「反原発」、「反東電」モードであるが、この風潮は、第二次世界大戦に突き進んだ時に似ていると思う。政府は今回の地震・津波が、賠償責任法3条ただし書きに該当しないと決めつけているがこれはそれほど自明なものではない。これに対する異論は当然出ているにもかかわらず、マスコミも光を当てていないし、議論もされず、国民全体への説明という視点が欠落している。

政府は、これまで進めてきた原子力政策への批判の矛先が政府ではなく、東電に向かうように全力で動いている。確かに、政府の対応は、放射線の被害にあった人々の救済に向けられたものである。これは不可抗力で、被害者は一切の賠償を受けられないと言ってしまえば、暴動が起きること必至だったと思われる。すなわち、原子力事業者に損害賠償責任が認められなければ、政府補償ということにもならず、結局被害者は泣き寝入りとなるからだ。政府の対応が政策として間違いというわけではないのだろうが、東電に無制限の賠償責任を負わせるべきという現在の方針にかんがみれば、やはり疑問がある。私は別に左でもなんでもないのだが、原発事故に関する政府、マスコミの現在のあり方はかなり危険だと思っている。原発賠償の責任分担については政治的利権や大人の事情のかかわらない、司法判断に期待する。

先日東京弁護士会の会長の話を聞いて、「弁護士の独立」の意味について考えていた。今年の会長はなんというか反骨精神をお持ちの方でひそかに憧れている。弁護士というものは誰からも拘束されない独立性が保障される職業なので、私も逮捕されない程度にロックな提言をしていかなければならないと思った。

さて、約半年にわたって掲載を続けて参りましたこの「若手弁護士タツゾーのじじブロ 日経新聞を読む」ですが、私の額も後退し、いつまでも若手と言っていられないので、本エントリーを最後に終了させていただきます。あたたかい応援どうもありがとうございました。しばらく休みまして、違った形で再開しようと考えていますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
次は、「アラサー弁護士タツゾーのブログ、聖教新聞を読む」とかそういうタイトルにして読者層のさらなる拡大に挑みます(嘘)。


吉祥寺にオープンした「公園通り法律事務所」の開所パーティーに参加して、内祝いでいただいた、とても素適なフォトフレーム。
写真はスナック仲間と私。

タツゾー

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